1996年10月15日

こんちは〜 さくらよ
 この前私、お母さんと一緒に福井ってとこに行ってきたの。お天気もよかったし、久しぶりの遠出で楽しかったわ。ちょっと車に乗ってるのが飽きちゃったけれど、帰りはほとんど寝ていたし、たまには長いドライブもいいわね。
 私って可愛いでしょ、だから会う人会う人『かっわい〜!』を連発するの。そして『おいでおいで』だって。中には舌をならして呼ぶ人もいるのよ。失礼じゃない。そんなことで私、側には行かないわよ。
 でも、ちょっとハプニングがあったのよ。東尋坊ってとこでなの。大きな、うちのひらめちゃんのような不細工な犬がね、3匹も4匹もいたの。野良犬よ。東尋坊でぶらぶらしてごはんにありついているのかしら。ちょっと可哀想だけど、私そんなことかまってられないわ。お母さんがソフトクリーム食べている時、私見つけたんだけど向こうは気が付いてなかったみたい。しばらくしたら向こうからこっちに近づいてくるじゃない、来るならいらっしゃいって気持ちで構えていたら、あっと言う間に3匹に囲まれたの。お母さんが私を抱き上げて、お母さんのお友達が私のまわりをガードしたの。そんなことしてくれなくっても平気なのに。それでどうなったって思う? 私の気合いに負けたのかしら、それともおいしい臭いでもしたのかしら、くるって回って向こうへいっちゃったのよ。でも一匹だけお座りしていつまでも私のこと見つめていたわ。よっぽど私って可愛いのね、また自信ついちゃった。

またまた衝撃の告白なんちゃって ひらめでーす
 冗談言うてる場合とちがうのやけど、もう済んだことやし1年以上も前のことになったし、ちょっとほとぼり冷めたかなってことで聞いてもらうわ。でも言うとくけど、今回はシリアスな話で面白い話とちゃうで。
 2年ほど前まではうち、朝はおじいちゃん、夕方はおばあちゃんに散歩連れて行ってもろてたん。ある日おばあちゃんと散歩に行った時のことやねん。
 前に話したみたいにその時もすごく興味のあるもの見つけたんや。そいで思わずダッシュしたら後ろでにぶい音がゴンってしたん。で、振りかえったんやけど別に何事もないみたいやったし、そのまんまおばあちゃんと一緒に家に帰ったん。
 次の朝おばあちゃんの顔みたら右半分が紫色になってはれてたん。うちのおかあさんが来て「おかあちゃん! その顔どしたん!?」って聞いてはったわ。そしたらおばあちゃん「ひらめに引っ張られて止まってた車にぶつかったん」って言わはった。ひぇーうちまたそんな事したん?!
 
次の日はおばあちゃんの顔青くなってた。そいでまたその次の日は黄色くなってたん。なかなか直らへんかったん。うちびくびくしてたんやけど、おかあさんが「頭痛ないか? お医者さん行った方がええで」って言うても、おばあちゃん「どうもない、どうもない」って言わはるし、日がたつにつれてちょっとずつやけど直ってきたし、みんなだんだんそのこと忘れててん。
 ある日の朝、おばあちゃんなかなか起きてきはらへんかった。おかあさんが血相変えて飛んで来はたわ。なんやろって思てたら、おばあちゃん半身麻痺して布団から起きあがられへんようになってはったん。救急車が来たり、いろんな人が来たりしてなんや大変やったん。うち、もうびくびくしてしもて、鳴くことも忘れてしもた。なんのことかさっぱり解らへんかったんやけど、おばあちゃん うちが原因で、ノウザショウってのになってはったんやて。もうちょっと手術ってのが遅かったら頭の中の血豆の親方みたいなもんで、完全に脳が麻痺してしまうとこやったん。おばあちゃん頭に穴開けて、その血豆みたいなもん取らはった。おばあちゃんは心臓も弱いし、うちのおかあさんは“もうおかあちゃん死ぬ”って思てはったみたい。みんなうちのせいや。

 でもおばあちゃんは完全復活やー!
 
今は元気で前より頭冴えてるのと違うかってみんなに言われてはる。でもあれ以来、うちはおばあちゃんと一緒に散歩行ったことないにゃー。その方がええとうちも思てる。ほんまにアホやろ。
 これでやっと出来た少ないうちのファンも、消えてなくなるかな?…やっぱり。 しゃーないけど、ほんまにうちアホやし。

でも今もうちのこと一番可愛がってくれはるのおばあちゃんやねん。
 クーンクーン

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